
ある世界には、「煙になれる」能力を持つ人間が少数いる。能力者は、1回につき最大1分間だけ、体を煙に変えられる。使ったあとは、3分間あけなければ、もう一度は使えない。ただし変われるのは体だけで、服や持ち物は一緒には変わらない。
鍵のかかった金庫室で、館の主人が鉄の文鎮で殴られて亡くなった。出入口の扉は施錠されていたが、天井近くに、幅25cm・長さ12mの通気ダクトがある。凶器の文鎮は、金庫の上に置かれたままだった。
容疑者は三人。煙になれる能力者の灰谷、扉の鍵を預かっていた執事の長野、そして主人の甥で、館に来たばかりの武内。
灰谷は「自分は煙になれるが、文鎮を持ってダクトを通ることはできない」と主張している。長野は「鍵はずっと自分が持っていた」。武内は「私は何も知らない」と言う。
特殊ルールを踏まえると、犯人として最も筋が通るのは誰でしょう。
行き詰まったら、ヒントを順番に一つずつ開封してください。
煙に変われるのは「体だけ」。では、服はどうなるでしょう?
ダクトから出た灰谷が、服を着たまま出たとしたら、おかしなことが起きます。
凶器は現場に残されています。持ち出さなくてよい犯行です。
特殊ルールを踏まえると、犯人として最も筋が通るのは誰でしょう。
真相に最も近いものを選んでください。
鍵を預かっていた執事の長野
答えは「鍵を預かっていた執事の長野」です。
灰谷がダクトを通るなら、煙のまま約1分ほどかかります。能力は1回1分までで、体しか変わらないため、凶器の文鎮を持って通ることはできません。ところが、この事件の凶器は金庫の上に置かれたままで、殴ったあとに持ち出す必要がありません。
それでも、灰谷は犯人にはなれません。犯行後に煙のまま外へ出ることはできても、そのときは服や持ち物ごと変われないので、衣服を金庫室に残すことになります。ところが現場に衣服の残りはありませんでした。
一方、扉の鍵を預かっていた長野は、普通に入って普通に出られ、扉を再び施錠すれば済みます。能力が目立つほど、能力に頼らない人物が見えなくなるのです。
特殊な能力が登場すると、その能力で事件を説明したくなります。しかしルールを正確に当てはめると、能力者はむしろ犯行に向かない、と分かるのです。
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